合格体験記
今年東工大(理学院物理学系)に受かりました。
去年東大撃沈記録は書いたはずなので、筑波・東工大・東北数学(リベンジ編)の3校の対策として書きます。
受験の総括:
彼を知り己を知れば百戦殆からず
敵に味方あり味方に敵あり
詳細は続きに書きます。
目次
1. 高専からの編入試験の分類
1.1 専門教科型
試験のやり方(例):
- 専門教科のペーパーテストを課す
- 口頭試問のみでペーパーテストを行わない
1.2 一般教科型
試験科目(例):英語+数学+物理+化学
二年次に編入する学校も有り
2. 一般教科型の学校の対策として私がやったこと(全教科共通の方針)
2.1 自分に合った勉強法をする
私は学校のテストでも本番に試薬名などの固有名詞を忘れてしまったりすることによる減点が多かったです。そのことを踏まえて、出来る限り覚える量が少なくなるように工夫しました。
2.2 受けるかどうかは別にして、東大・京大クラスの学校を受けるつもりで対策する
問題+パターンというセットで覚えるのでなく、自分で考えて解くようにしようとしました。また問題集の応用問題をいつも解いていたら基本問題は簡単に見えるというような感覚を持つことで受験直前期に焦るのを防ごうとしました。
2.3 いきなり?過去問を使った対策にとりかかった
問題集を一冊仕上げなおす?仕上げる?前から過去問に取り掛かっておきました。
過去問に取り組む
→どのようにわからないのか、どのような知識が足りないのか把握
→わからないところを調べて類題を問題集で解く
というのを繰り返しました。
3. 筆記試験対策
3.1 英語
3.1.1 ETS(Educational Testing Service)によるテスト
いつ受けたのかというのに注意!
TOEIC/TOEFLのスコアシート提出を求められる所が多いです。TOEIC対策はきちんとしておきましょう。私は受験勉強を始めてからTOEICを受ける機会が無かったか寝てたか何かで、受験勉強を始める前のスコアシートを筑波に提出するハメになりました。何が起こるかわからないのでTOEICは真面目に受験しておきましょう。
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TOEICの点数がビジネス英語のスキルの指標であるのに対しTOEFLの点数は大学の授業を英語で受けられるかどうかということの指標になります。ですから、受けられる機会があればTOEFLに向けて対策したほうが編入試験対策には良いと思います。私は間に合いませんでしたが。
3.1.2 学校独自のテスト問題への対策
完璧にしましょう。長文読解力・単語力をともに鍛える単語帳。本の最初に速単の使い方は書いてあるのでめんどうでもなるべくそれに従って勉強してみましょう。
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速読英単語必修編の方が優先度が高いです。速単必修編に無い単語が結構有ります。少ない例文に多くの単語が詰まっている単語帳です。 復習用のCDでおよそ60分で単語帳を一周できて便利です。
試験にでる英単語―実証データで重大箇所ズバリ公開 (青春新書)
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237頁からの語源集が単語類推力向上に役に立ちます。
英文法。学校の教科書をそのまま使いました。5年間でたくさん周しました。
東工大は英作文も課します。図書館でなんとなく借りてみてたまたま読み物としていい感じだった本です。
日本語の文章→日本語の単語で英語のお作法での書き方の文章→英語の文章
というような流れで英作文を学ぶ本です。
他にやったこと:
- 移動中のポッドキャストの視聴(内容がおもしろいと思えるほうが長く続く)
- 英語Webページの閲覧(長文アレルギーの克服)
- 数学基礎用語の暗記(数学基礎用語集(和英編))
3.2 数学
3.2.1 3校に使いまわした対策
まず既習範囲を総復習するために教科書の流し読み(定義・定理・例・例題の確認だけをすること)をしました。
学校によって出題範囲は違うものの、私が過去問を入手し受験した学校で共通している出題範囲ということで
の2つの単元は真っ先に抑え、その他の範囲は受験シーズン順に先程書いた
とにかく過去問に取り組む
→わからないところを調べる
→類題を解く
という戦法でいきました。この段階で以下の問題集を使用しました。どこかの問題に以下の問題集に載っていない縁付きヘッセ行列を使う問題など有りましたが、そのような手元の問題集にない問題はGoogle先生に聞いてどうにかしました。
3.2.2 東北大数学
東北大の数学科の問題はそれなりに覚えていないと解けない問題です。そこで暗記カードを作成しました。思い出しやすくするために。
表面の例:行列式の第二定義(explicitな定義)
裏面の例:
3.3 物理
基礎物理学演習 (1) (ライブラリ工学基礎物理学 (別巻=1))
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- 過去問を机に出します
- 基礎物理学演習の目次を開きます
- どこの範囲までその大学が出題するか目次に書き込みます
最初にこの作業をしておくことで、出ないであろう所を勉強せずに済みます。ただし、問題傾向が変わることが有るので「あれ…なんでここは出ていないんだろう……」と一瞬でも思った範囲は触っておいたほうが良いと思います。
他に基礎物理学演習を使う上で個人的に気をつけたことについて例示します。
基礎物理学演習(2)の第4編 電磁気学、第1章 電荷と電界、1.4節例題2 球状分布電荷のまわりの電位
この例題のヒントに
1.3節例題1の結果と式(1.12)を用いる
とあります。このように前の節などに戻る例題は、前の節に戻った先(この場合だと1.3節例題1)を解き直してから1.4節例題2に戻る…というようにするとつながりが見えやすくて楽でした。
3.4 化学
傾向? 東工大の化学にそんなんの無いYO★
……というくらいの勢いで心の準備をしておきましょう。とりあえず範囲としては
となります。試験時間には限りが有り、大問も5問くらいしか出せません。大学側は学生がその大学でやっていける基礎学力が有るかを見たいことから、なるべく広く見たいはずだと踏まえて広く浅くをモットーに勉強しました。
まず高校化学レベルからどうにかしようとしました。計算問題などは問題集を解いてみたりしました。
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無機・分析化学演習―大学院入試問題を中心に (化学演習シリーズ)
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大学レベルはこの三冊でざっくり対策しました。マクマリーは13章以降は構造決定+生体分子なのでスルーしました。無機・分析の演習の本は解いていてだるくなったりもしたので、だるくなったらとにかく飛ばすというルールを設けて、意地でも広い範囲を触るようにしました。広さが大事。
さて、そんなに対策しても裏切ってくることが無いと断言できないのが東工大化学の恐ろしさです。今年(H30年度)入試は、金属の元素記号とその用途や性質というような文を合致させる?ような問題が出ました。まさかこれを読んだのが受験勉強になっていたとは……
3.5 勉強量
東北大の数学科対策のぶんでコレ。A4の白紙200枚くらいです。だいたいこれを4倍したら総勉強量になります。A4の白紙で800枚前後なので1冊につき30枚のノート27冊分くらいですね。マジかよ。ただ、そのうちの2/3以上は計算用紙です。志願書に微分方程式の事を書いたのでこんな感じの内容も暗記カード化してます。
4. 出願(沖縄高専生向け)
- 学校によって若干出願の仕方が異なる
- 推薦書の発行に関しては推薦できる条件なども有るので教授などに要相談
- 学生課の担当者が不在のこともある
- 調査書を発行するのには7〜10日かかる
- 早めに発行してもらおうと思って一ヶ月前に行ったら追い返された
- おそらくは書類発行の手続きは必要になる日の2週間前くらいがベスト
- 申請書類提出時に願書の持参(受験資格が有ることを事務に示すため)が必要
- 学校の近くの郵便局には時間の余裕を持って行こう
5. 筆記試験の出来
5.1 筑波(応用理工)
なぜ筑波がこんなぬるい問題を出したのか疑問視し、出願書類(席次)とTOEICで合否が決まりそうだと終わった瞬間に思いました。解答の回収にとても時間がかかりました。
5.2 東工大
数学:例年通り
物理:理物で受ける人がこの有様は恥
化学:書きかけで回収されちゃった
英語:ヒューマンパワー
一日目でもうダメだと思いました。二日目はヒューマンパワーにトドメ刺されて面接の前から完全に戦意喪失しました。ヒューマンパワーが無さ過ぎてヒューマンパワーの自由英作文が雑になりました。英語力より人間力の不足を感じました。
5.3 東北数学
数学:重積分の問題が東大の数学の問題っぽかったです
英語:絵心が試されました
筆記はボチボチという感触(面接が壊滅的でした!!!!!)
6. 面接
学風が面接官に出ていました。
- 筑波:堅い
- 東工大:すごい
- 東北数学:厳か
以下に面接関連のメモ書き
- 英語ができるかどうかということについて聞かれる
- 志願書に書いたことは当然ツッコまれる
- 専攻を変える場合どのような経緯で専攻を変えるのかという説明が必要
- 自分がどのように解答したか覚えておこう
- 受験の専攻の基礎知識の口頭試問は有ると覚悟したほうが良い
- 卒研でどのようなことをしたのかなど思い出しておこう
- ミスマッチの危険性を忘れずに!
7. 合否
筑波:不合格
東工大:合格
東北:不合格