ビリギャルっぽい感じで金にしたかった

本音:この記事のタイトル



1.
ビリギャルと略称される、元々受かる素養有るギャルを慶応に受からせて書かれた本が有ることは、周知の事実だろう。

バイト先に向かう電車の中+びみょうな空き時間+睡眠薬が効くまでの時間でスマホから更新しているから、ビリギャルの本のタイトルさえ調べるのもめんどくさいのだ。だから、略称で書いている。

一応籍を置かせて頂いている大学の学祭なのに、編入生会からも早々にドロップアウトして、学祭ガン無視でバイトしている。ついでに数学の勉強に普通になっていて勉強してたら金がもらえる、とかいうサイコーなバイトでもある。

社会性のなさと、ビリギャルへのリスペクトの無さについては、許してほしいところだ。

それでだ。

「あんな『そら受かるやろ』なやつでも本にできたんだ。私みたいな誰からも『無理』と言われたやつがあれを模倣して本を出せば金になるのでは?」
と万年金欠学生であり障害者の私は思ったのである。金がほしい。

しかしながら、高専からの編入志望の人というあまりにも小さい母集団の人たちに対してビリギャルみたいな本を書いても、どう考えても金になる気がしなかったのだ。

しかも、編入体験記などを読み漁るに、どうやら編入志望の高専生という人々はわりと勉強ができたり技術に関心がある強い人々というのが多いように見受けられる。

つまり、私がターゲットにする「就職もしたくないし(できないし)頭も悪いしほんとうにどうしようにもない」というお手上げの人という人自体少ないようだ。これではあまりにも金にならない。金にできない。

以前書いた合格体験記にはその諸々は伏せていたが、やはり、私自身が難関校に含まれるところに「受かってしまった」という事実が不思議でならない。後期に入った(体調不良のため休学しているが)今でさえ実感が無い。



2.
まず編入の難しさはスケジューリングにある。一般的な大学入試であれば高校側は非-実業系なら入試を考慮してくれるが、高専はしなかったりもする。これは個々の所属校・所属学科によって事情が異なりそうではあるが、卒研+受験+課題という3重苦になることがあり得る。こうなる場所だと、直前期にできる事は最終確認程度しかない。

私の学校の所属していた学科だとこの3重苦パターンだった。そして私が編入を決めたのは4年生の夏のインターンシップである。これで直ぐに受験勉強に取り掛かることができて、4年→5年の春休みで追い込みをかけることができれば、現役合格の可能性が残ったであろう。ただし、元が勉強ができない人なのでその可能性も低いものではある。

実際にはこれは「できなかった」ので浪人した。4年冬に入院するくらいに体調を崩したので受験どころではなかったからである。現に、出願をして試験を受けたところはあるが、途中退室した。

スケジューリングの難しさは勉強だけに降りかかるものではない。金銭面にもふりかかる。遠いところの試験を、前日に下見・初日に筆記試験・翌日に面接(前々日と翌々日に移動するとしたら4泊5日)というスケジュールで受けるとする。なお、TOEICTOEFLのスコアシート提出は無いものとする。
出願→3万/校
交通費→実費(筆者は2万/校くらいだった)
宿代→1泊7500円だとすれば3万/校
計→9万/校
このような金額を受験校の数をかけた分だけ用意しないといけない。



3.
編入実績がお世辞にも良いとも言えない或る高専の劣等生が、1浪ではあるが如何にして東工大編入できたかということを以下に記す。なお、現役合格ではないため「4年生のうちに編入志望ということさえ決めなかった」などというような浪人する可能性が有る人のみ参考になるだろう。

元々のスペック
席次:入院などでブレるが平均すると10位台のどこか
TOEIC:600点以上650点未満(もう忘れた)
特筆事項:或るマイナー資格の当時最年少記録持ち
スキル:無し
得意科目:英語


TOEICがこのゴミカスで得意科目が英語な時点でお察しである。そのくらいには酷い有様だった。どのくらいお勉強ができない人なのか書こう。

まず勉強アレルギー持ちである。机に向かう事が苦手だ。ただし実験はもっと苦手だ。

数学:sin(ax+b)を微分することも積分することもできない。あれ? マイナス付くのどっちだっけ? というか微積何それおいしいの? 条件付きの極値? え、条件無しでも2変数のやつ自信無い。もっと言うなら1変数でも自信無い。対角化? そもそも行列の積さえ計算できるか怪しい私にそこまでできるようになれるの? eの定義? ワンチャン指数法則から怪しいんですが。ln (x)の導関数? そもそも極限の計算さえできねえぞ。

物理:クーロンの法則? クローン? クーロン? まぁ万有引力のやつと形は同じか。もういいやそういう覚え方をしてしまえ。んあ、ばらばらにして足し合わせる? できるわけないじゃん。物理以前に微積でつんでるやないの。エントロピー? はぁ? 熱力学第2法則ってなんであの2つの書き方どっちもアリなん?

化学:は? こんなん知らんわ。ネルンスト? ネンルスト? 高校化学からマジに忘れてる私に化学を求めるな。しかも計算めんどくせえし、地味に覚えること多くね? もうヤケクソで曲がった矢印で考えるアレだけでどうにかしていい?

英語:相対的にまだマシなのかもしれない。……が、難関校合格者で730きってるのはいかがなものなのか。しかし英語の授業という概念が大嫌い過ぎて、これのせいで留年しかけたことも有る。


スケジューリングというめんどくささがなく、受験だけが目の前にある状態だったので、寝るor受験勉強、息抜きに散歩やツイッターみたいな生活をしていた。1日10時間勉強とかはやって当たり前の世界で(ただし風邪ひいて寝込んでた時期があるので4〜7月フルで勉強できたわけでもない)、そうでもしないとこのゴミカス状況からの挽回は無理。


まずしたこと:効率化
A. 過去問の分析
B. 自らの認識様式の把握
C. テキストなどを使った対策(合格体験記に書いたので省略)


A. 過去問の分析
絶対に出る範囲から勉強するという戦略である。また、複数校受験していたため、どの学校からも出されるような所を重点的に勉強したことに留意してほしい。

数学:重積分偏微分固有値と対角化がだいたい狙われる。
微分方程式は数学で出題が無くても、単純な変数分離型ぐらいはできておかないと物理でつんでしまう。
他、東工大の数学の問題はほぼ毎年似たような問題が出ている。うろ覚えで恐縮だが、条件付きの極値の問題(2変数)・行列が出ていたはずだ。ひとまず数年分ザーッと見て、明らかに多いような範囲から真っ先に潰し、前提知識が足りないなら適宜補完していくという形。

英語:得意科目
私自身は浪人時代は全くと言っていいほど英語は勉強しなかった。他の科目をどうにかすることで手がいっぱいだった。ただ、授業で速単の必修編を使っていて、そのときに本文を自分でも訳せる様にする練習はやった。
単語レベルとしてはDUO程度なので、速単上級編をやり込むだけでだいたいどうにかなるはず。長文読解+英作文ができればなんとかなる。

物理:どこでも力学と電磁気学は出る。
東工大の物理なら熱力学か波もでる。

化学:過去問研究したのを後悔した。
素直に高校化学を一通り抑えるのが最適解だろう。


B. 自らの認識様式の把握
高専時代から固有名詞が覚えられなくてテストで爆死しまくってたので、固有名詞は覚えないことにした。なんとか反応の反応名を問われたら捨てる。このくらいの潔さでガンガン捨てていった。

本番で忘れたらアウトですよー!ということで、あまりにも信用できない自分自身の記憶の容量なので、とにかく覚える公式を減らすように努めた。覚えても無駄なのは覚えない。知らないと解けない問題はガンガン捨てた。

典型的な視覚優位の認識様式なので、図で全部理解しようとした。力学はお絵かきとかたまにジョークで言っているが、とにかく図に起こしてガンガン図に書き入れてなんとかする、ということをやりまくった。

これが聴覚優位の人なら図で理解するより、ステップバイステップでちゃんと証明して数式で理解するなどの方が向いているのではなかろうか。

定義からスタートして定理すべてを証明するという営みさえできていなかった、ということを上の視覚優位者と聴覚優位者の違いの段落群から察してほしい。それが、この浪人期の実情である。定義からスタートする必要性などは分かっていても「受かるためだけの」演習を優先せざるをえなかった。浪人の3〜4月の受験勉強スタートというものは、元々のポテンシャルが低い者にとってはとても険しいものである。



4.
ところで、2021年からセンター試験がマーク式でなく記述式になるそうだ。確かにマーク式よりは、正しい考え方で書いているかなどの参考になるとは思われる。これで、本来足切りされるべき人が足切りされるようになる、センター利用で自分の実力以上の所に入ることを防ぐ、ということも確かに期待できるかもしれない。しかし、記述式である編入試験でさえあの有様の人が付け焼き刃「だけで」忍び込めているのだから、何をどうやってもセコい手で入ってくる人は一定数いるかもしれない……と自らの経験に照らし合わせると思わざるをえない。



5.
もったいない精神で書ききった。お金がほしい。本音はこれだ。この内容をもう少し真面目に書けたら本気で金取りたいんだが。この内容だと売れないのかねえ。

2018.10.26 追記
東工大を受けことを決めたのは高専を卒業して、筑波の受験のために東京に出た頃なので、浪人の5月とかそのくらい。編入試験が8月末〜9月頭あたりなので、期間としては3〜4ヶ月くらい。都内のキャンパスに加速器があることそのものにビビったから受けよう、みたいなノリだった。なぜこれでなんとかなったのか、全くわけがわからないので誰かこの手の無謀受験やってどうにかなった人がいたら、そのような体験記を読んでみたいものである。